夏は休まない。人々が旅立った街で働き、風の変化をそっと感じるのが好きだ。
やり残した経理だったり、サイトの更新だったり、冷抹茶の稽古だったり、空いた健康診断だったり。
アッと言う間に過ぎ行く盛夏。
8月は冷房の無い稽古場を離れ、内田繁さんデザインの茶室「季庵」を借りて、涼しく稽古をするのがこの数年の事である。
美しい影が落ちる茶室で、普段出来ない吊り棚の点前を稽古する。
こうして13年の歳月が流れ、来年はいよいよ道名を頂く事にした。
次のステップのため、自分の背中を押すためでもあり、覚悟を決めた次第です。
型の茶の湯と言われるが、実際のところの守破離は、型を入れたその先の自在にあり、茶の湯を楽しむ者達は、全員その境地を目指しているはずだ。
台湾の沈老師も「法不定法 忘情心手 趣在法外」(手段に捉われの無きように。念頭も心も忘れ、全てを置く。趣はルールの外にある)とお言葉を下さった。
茶の道を歩く者としての常の探求は続く。これでいい、これがいいのだ。