演劇でなく、ダンス公演。
ずば抜けた表現力と手の美しさ、軽々と着地する跳躍、いつまでも少年の面立ちを持つ、日本を代表するダンサー首藤康之が、ウィル・タケット演出に臨んだ。
日本民話の「鶴の恩返し」が、イギリス人の視点と解釈で形を変え、ダンス舞台として生まれ変わった。
パペットの鶴を使った飛翔シーン、首藤と絡む聡明な鶴の存在、尺八演奏が名曲「鶴の巣篭り」を連想させる。
良く解釈し分析されて生まれ変わった民話は、映像表現も取り入れ、ワダエミ制作の超大サイズの布までが主役で登場する。
シンプルだけど、確固とした美的表現が胸を打つ、素晴らしい作品が生まれた!
世界初演に立合えた喜び。
満たされた疲労感を抱えて一人劇場を後にする、心が高揚し生が満ちている一番好きな時間。