久し振りに刺激的な舞台(それもたった一日の)を鑑賞した!
駅までも駅からも道のり長い劇場で、出掛ける時は気合いが必要だが、いつも期待を裏切らない高質な舞台をギフトしてくれる。
今回初来日のシステム カスタフィオール。フランスコンテンポラリーダンス界、現代アートシーンにおいて最もクリエイティヴなカンパニーの一つ。
カール・ビスキュイ(演出・CG・音楽)とマルシア・バルセロス(振付)が、89年に設立したカンパニーの特徴はその類まれなる独創性。映像、造形美術、音楽、ダンスを見事に昇華させた舞台は、近未来の夢?現実?「2813年、人間は地上から離れて天空の未来に隠れ家を見つける…」と始まる。
私にとっては、なんとなく懐かしいようなシーンが満載だった。
1998年、押井守監督の下、結果的に作られなかった映画「GRM」(ガルム)の制作チームで、ハリウッド界にプレゼンするための映像制作をしていた。その近未来を描いたシーンを思い出したのだ。
アンドレイ・タルコフスキーや宮崎駿作品からのインスピレーション、絵画やファンタジー、黒魔術や19世紀感等、様々な作品のエッセンスを盛り込んで、未知なるゾーンへ踏み込んでいく未来の子供達によるイニシエーションの旅を一緒に旅していた。デジタル音のような会話や正確なダンスも味わい深かった。終わってみると、70分間の未来旅行。
暗い劇場空間を後にして昼間の街を歩きながら、そのファンタズムに酔いしれていた次第。